東京都杉並区 Aさんの庭 2010年

大切に未来に伝えていく地域の庭 (杉並区阿佐谷北 区立公園)

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前面道路から左手がメインの入口、中央に旧住宅の面影を残すトイレと右手に公園南側のシンボルツリーのコブシがある集いと憩いのスペース。

 

杉並区阿佐谷北の区立公園「Aさんの庭」は、安西デザインスタジオが関わる前に計画がすでにまとまり、工事開始直前でした。しかし、2009年2月に敷地内に保存が決まっていた大正時代の住宅が全焼し、当初の整備計画は白紙になりました。

著書「トトロの住む家」(朝日新聞社1991年初版・岩波書店2011年増補改訂版)に焼失前の住宅を取り上げたことで、以前からこの地にご縁があったスタジオジブリ宮崎駿監督が新たな公園計画案を提案されました。

「三鷹の森ジブリ美術館」、「サツキとメイの家」とスタジオジブリ関連施設の屋外空間デザインを手掛けたことがご縁で、2009年「Aさんの庭」の具体的な施設、植栽、設備計画と設計を今回担当することになりました。

以前、この住宅にお住まいだった近藤英さんが丹精込めて手入れをしてきた庭園部分は、基本的にそのまま残し、全焼した建物基礎の中には、盛土して新 たに藤棚や間取りの説明用サインなどの施設整備を行いました。また、駐車場だった場所には旧住宅の面影を残すトイレ兼防災倉庫やシンボルツリーのコブシを 中心として人が集い、憩える計画としています。以前使われていた井戸も、旧住宅の瓦を再利用して覆屋をつけました。

今回のトイレ兼防災倉庫と井戸小屋の設計を手伝っていただいた山田達也さん(山田建築研究所)とは、3回目のコラボレーションになりました。

公園は2010年7月25日に開園。お近くを訪問する機会がありましたら、休憩や散策などに是非お立ち寄りください。
(阿佐ヶ谷駅より徒歩10~15分、開門時間や詳しい場所は下記URLの方のページに詳しく記載されています。)
http://www7b.biglobe.ne.jp/~asannoniwa/index.html

整備方針

  • 東京都杉並区Aさんの庭は昔から街の方々に親しまれてきた景観を継承し、後の世代に引き継げるような計画とする。
  • 周辺の住民の方々が管理に参加することを前提とした施設、植栽計画とする。
  • 隣接する学校や住宅へのプライバシー確保や開放感を検討する。
メインの入口 右上は手描きの入口サインのついた照明灯。
メインの入口 右上は手描きの入口サインのついた照明灯。
コブシを囲んだ石積は、たくさんの利用者が休憩できるように配置している。木チップと木質系の園路はアスファルトとは違う柔らかな触感を提供している。右奥に見えるのは通称「ナマコ山」サツキやカルミア、ブルーベリーなどツツジの仲間を中心に植えている。
コブシを囲んだ石積は、たくさんの利用者が休憩できるように配置している。
木チップと木質系の園路はアスファルトとは違う柔らかな触感を提供している。
右奥に見えるのは通称「ナマコ山」サツキやカルミア、ブルーベリーなどツツジの仲間を中心に植えている。
旧庭園入口、門扉もかつて使用していたものをできるだけ忠実に再現した。公園内にはデザインを統一した門扉を4ヶ所に設置している。庭園内には以前使われていた平板の飛石の再利用や、庭園の趣を妨げない人止柵を設置。 (写真提供:栗原秀幸氏)
旧庭園入口、門扉もかつて使用していたものをできるだけ忠実に再現した。
公園内にはデザインを統一した門扉を4ヶ所に設置している。庭園内には以前使われていた
平板の飛石の再利用や、庭園の趣を妨げない人止柵を設置。
(写真提供:栗原秀幸氏)
工事前の旧住宅跡、布基礎や左手の井戸を再利用してできるだけ住宅の面影も残す方針とした。
工事前の旧住宅跡、布基礎や左手の井戸を再利用してできるだけ住宅の面影も残す方針とした。
整備後、井戸には瓦を再利用した屋根を設置、布基礎内には旧住宅の間取りを基本に、藤棚や間取りの解説サイン、縁台を設置、以前塀に使われていた大谷石は敷石に。 (写真提供:栗原秀幸氏)
整備後、井戸には瓦を再利用した屋根を設置、布基礎内には旧住宅の間取りを基本に、
藤棚や間取りの解説サイン、縁台を設置、以前塀に使われていた大谷石は敷石に。
(写真提供:栗原秀幸氏)
建物の壁があったところにはマメツゲの生垣を配植し将来はボーダーに、3本のクチナシは旧/食堂と個室の境に配植している。部屋の移動は、古い平板とイメージを合わせた平板飛石で。
建物の壁があったところにはマメツゲの生垣を配植し将来はボーダーに、3本のクチナシは
旧/食堂と個室の境に配植している。部屋の移動は、古い平板とイメージを合わせた平板飛石で。
フジの古木は、散策路の上を渡って藤棚へ誘引。
フジの古木は、散策路の上を渡って藤棚へ誘引。
火災の影響で大きなダメージを受けた樹木も、時間と共に芽吹き始め、できるだけ残す計画とした。足元には工事中に移動していた植物を再利用して配植。
火災の影響で大きなダメージを受けた樹木も、時間と共に芽吹き始め、できるだけ残す計画とした。
足元には工事中に移動していた植物を再利用して配植。
建物の概要を説明するサインは、トイレの屋根とイメージをそろえ、同じ勾配で素焼きの瓦を感じさせる色合いの自然石とした。奥に見えるのは井戸小屋の屋根瓦。
建物の概要を説明するサインは、トイレの屋根とイメージをそろえ、
同じ勾配で素焼きの瓦を感じさせる色合いの自然石とした。
奥に見えるのは井戸小屋の屋根瓦。
庭園南側に位置する入口の門扉と木質系のソフトな園路。植物も伸び伸びと育ち始めている。 左手の植栽地と園路の見切りには旧住宅の屋根を彩っていた素焼きの瓦を再利用している。
庭園南側に位置する入口の門扉と木質系のソフトな園路。植物も伸び伸びと育ち始めている。
左手の植栽地と園路の見切りには旧住宅の屋根を彩っていた素焼きの瓦を再利用している。
庭園は、長い年月をかけ丹精込めて育てられた華やかなバラをはじめ、さまざまな季節の花が楽しめる空間になっている。
庭園は、長い年月をかけ丹精込めて育てられた華やかなバラをはじめ、さまざまな季節の花が楽しめる空間になっている。